営業マンが使う、落差をつける交渉術
実績のある営業マンは、交渉をするときに巧みな心理トリックを利用しています。
ひとつ例をあげると、自身の販売ノルマが商品10個であった場合、一人ひとりに1個ずつ売って歩くような非効率的な立ち回りはしません。
必ず売れる商品であれば10人を渡り歩けば完売できますが、そんな商品であればわざわざ営業マンを雇わなくても店頭に並べているだけで即完売するでしょう。
この場合、多少無茶であるとわかっていても、「50個購入してもらえないか。」という切り口で入ります。先方からは断られることは当然ですが、このことは覚悟の上なのです。
そこで断られたときに少し考えたふりをして、「では、5個ではどうか」という要望を出すことで、先に出された無茶な要求で混乱した脳が勝手に比較をしてしまい、「5個」が重みを無くします。
そうすることで、最初から5個を提示した場合よりも確率が大きく跳ね上がるのです。
この、大きな物事を前置きにして話す手法は、身に着けると非常に強力な武器になります。本当に引き出したい答えと、重大な問題のように見せる前置きとの振れ幅が広いほど、相手は簡単にYesを出してくれます。
もうひとつ例をあげると、仕事が忙しい時期に有給申請を出したい場合などに、「非常に申しあげにくいことなのですが・・・」といった具合に、本来伝えたい内容との落差をつけることで効果を出すことができます。
このテクニックは、前置きと本音の間に落差があればあるほど効果を発揮します。本来の問題自体が深刻な場合はほとんど効果を発揮しませんので注意が必要です。